「カラマーゾフの兄弟」、亀山郁夫訳と米川和夫訳
亀山郁夫訳の「カラマーゾフの兄弟」をついこないだ全巻読破しました。
現在、最近実家にあった米川和夫訳の同作品を読んでいます(米川和夫さんは、この「カラマーゾフの兄弟」の翻訳でも有名な米川正夫さんの息子さんです)。
まだ米川和夫訳では上巻の1/4くらいしか読んでいないのですが、この時点であまりに両者に違いがあって驚いています。
“米川和夫訳を読んでみて、「あれ?こんなとこあったっけ?」とまるではじめてその部分を読んだかのように思い、亀山郁夫訳を確認する”、といったことが頻発しています(笑)
俺の読み方が雑で、亀山郁夫訳をだいぶ簡単に読み流してきてしまったように思えます。
ただ、どうも亀山郁夫訳は確かにばーっと一気には読めますが、同時に
「文章が頭を右から左に流れていくだけで、中身が頭の中に全然残らない。」
という感覚もありました。
それに対し、今回が2回目の「カラマーゾフ」であることを鑑みても、米山和夫訳は読みづらくはありませんし、「文体が古臭くてわかりづらい」ということもありません。
むしろこちらの方がしっかりと言葉が頭に残るようにも思えます。
なお、1回目の亀山郁夫訳での読書では、(亀山郁夫さんがエピローグ+別巻の「解題」で書いたような)ある場面とある場面の対比や結びつきにうまく気づけませんでしたし、「神の不在」や「父殺し」等のテーマがどこまで掘り下げられて書かれているのかわからなかった上、ドミートリーの感じる「恥辱」やイワンが幻覚症を起こすまでに罪悪感に苛まれる理由も、アリョーシャがイワンに「殺したのはあなたじゃない」という場面ももいまいちピンときませんでした。
(このへんはは俺の読解力に問題があるかもしれません)
2度目の「カラマーゾフ」では、その辺を注意しつつ米山和夫訳を読んでみたいと思います。
そして、米川和夫訳を読み終えてからまた改めて感想を書いてみたいと思います。
ちなみに、右の米川和夫訳の「カラマーゾフの兄弟」は、(恐らく)祖父のもので、集英社から出された「世界文学全集」の28、29巻(それぞれ上・下巻)。昭和44年刊行と、俺の生まれた20年近く前のものらしい。
お値段は本自体がハードカバーに加え、ビニールカバーのあるケースまでついて、1冊390円(!)。
今の390円の感覚だとびっくりしてしまいますが、当時の物価をうかがい知れる貴重なものになってます(笑)
祖父はだいぶこのシリーズ揃えてくれてたので、大事に読もうと思います(ぅ・ω・)ぅ
- 作者: ドストエフスキー,亀山郁夫
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: 文庫
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