「カラマーゾフの兄弟」第9話(ぅ・ω・)ぅ
ついに反撃開始。
【涼・獅子奮迅の活躍】
●涼と小栗
満を救うために奔走する涼。
兄の無実を晴らすためとはいえ、自分の父親に殺意を抱いていた人間を探して回るというのは、ちょっとすごいです。
そんな涼を小栗はいろいろとたしなめます。涼にはちょっと強気な小栗です(笑)
小栗が涼にいう「仕事の上で文蔵を恨む人間はいるが、同時に文蔵がいるから生活できているという事実がある。殺しても得をする人間はいない」というのが、勲が以前に涼にいった「弱い者は強い者にすがって弱い立場を利用して生きている。これが現実だ」を想起させます。
再び「現実」を突き付けられた涼ですが、
「苦しい時に支え合うことができないなら、兄弟に生まれた意味がないじゃないですか」
と反撃。
自分の信じる「理想」を元に満を救う決意の強さを示します。
うちの妹と弟ははたしてそんなことを言ってくれるだろうか(笑)
直後に末松の顔がアップされるのが意味深だったりしますが(笑)
●涼と久留美
涼が話を聴きにいったのは久留美。涼は満を陥れた久留美を批難するどころか、
「あなたは兄の気持ちに寄りそおうとしてくれた。僕にあなたを批難する理由はない」
と、めちゃくちゃいいやつすぎて逆に殴りたくなるようなセリフを言って、久留美をちょっと呆れさせます(笑)
原作でもそうですが、なぜあの親父からこんなに立派な(?)3兄弟が生まれたのか久留美でなくても不思議に思うところです。ですが、このむしろこの親父に愛されずにある程度離れたとこにいたからこそのこの3兄弟なのかもしれません。
ところで、久留美が町から逃げようとした満についていこうとした理由についてですが、我がまま娘・加奈子が問いただしたところ、
「わからない。ただ、満にはいつもつらい時でも希望を捨ててないまっすぐさがあったのに、あのときは希望の欠片もない無いかんじでほおっておけなかった」
と答えます。
久留美は、同じように絶望の中を生きる自分を、そのときの満の中に観たのかもしれません。
●涼と勲・その1
久留美から「満さんが守りたかったのはあなたたちだったのね」という言葉を聴き、「やはり満が人殺しをするはずがない」と勲に報告する涼。
「勲兄さんを怖いと思うこともあったが、自分のなかにもそういった部分があることに気付いた。人間だれもが持って当然の感情だと。問題は、それを実行するかしないかなんじゃないか。」
「血が繋がっているからじゃない、一緒に過ごした時間が教えてくれるんだ」
「どんなことでも糧にできるのが人間の心の強さだと、尊敬する先生が教えてくれた」
よかったよかった、1話限りで死んでしまった園田教授の教えはしっかり涼の中に生きていました。
涼は以前よりも強くなったのかもしれません。
【勲と黒澤の血】
●文蔵、夢にまで出現
父親の声の幻聴が聞こえたとおもったら、夢にまで文蔵の姿を見てしまい、すっかり参ってしまった勲。
「人を思い通りに支配したかったんだろう?」
「女だって興味のない振りをして本当は手を出したくて仕方無かったんだろ?」
「金も権力もほしくてほしくて仕方なかったんだろ?」
「あきらめろ!おまえものぞんでいるんだろ? 俺がお前の中で生き続けることを!」
ついでに唇にちゅーまでぶちこみます。
あの親父、死んでもこの濃さです。これは勲じゃなくても発狂します。
「あなたはたいそうお金が好きでいらっしゃるし、そのことはよく存じ上げていますよ。名誉もお好きですよ。たいそう誇りが高くていらっしゃいますからね。美しい女性ときたらこれはもう好きを通り越していらっしゃる…あなたはフョードルさまに、お子さんのうちじゃ一番似ておいでですよ、気性がまるでそっくりなんですから」
とイワンをいびるスメルジャコフの台詞がモデルになっていることは間違いないでしょうが、このドラマでは、この台詞は先週の満と今週の親父を通して勲を苛みます。
この夢の中の文蔵は、元のモデルはイワンの観る悪魔ですが、フョードルとスメルジャコフの要素も加わって、何が何やらだいぶカオスです。
●涼と勲・その2
うなされる自分を起こしにきた涼を文蔵と勘違いし、おそれおののく勲。
「逃げても無駄だ。一生親父に支配されるしかないんだ」
「俺の中がけがれたものでいっぱいだから親父に魂をのっとられても仕方ないんだ・・・!」
だいぶ夢の中の親父にやられてます。
そんな勲に、
「兄さんに流れているのは、父さんの血だけじゃない!母さんから受け継いだものだってある!」
「兄さんは何も悪いことをしてない!」
「父さんを殺したのは、あなたじゃない!あなたじゃない!」
と声をかけてはげまします。勲、ちょっと眼がうるんでるようにも見えます。
夜空に詩織と3兄弟とで、北極星をみあげた想い出を思い出し、勲も復活です。
【反撃開始】
●涼から勲へ、勲から満へ
入江に変なそそのかされ方をしていたせいか、いつのまにか文蔵殺害を認める供述をしていたらしい満。
満は過去に「同じ血を分けた子どもたちなのになぜ愛せないんだ?」と文蔵に聴いたときに「なぜ子供だからって愛さなくちゃいけないんだ?」と心底不思議そうに言われたそうです。
それによって「親父の子供に生まれたことをあきらめなきゃいけない」と悟った満。
こちらもまた諦念でいっぱいです。
そんな満に「このまま親父に縛られて生きていくのか?」と問う勲。
先日まで黒澤の血に屈服させられそうになっていた勲ですが、ここでは満に希望を与える役に回ります。
涼が勲に与えたものを、今度は勲が満に与えます。
「兄さんのためだけじゃなく俺自身がやらなきゃいけない。親父に打ち勝つために」
勲、入江のうざい絡みも軽くかわし、いよいよ3兄弟の反撃が始まります。
【次回予告】
ついに真犯人・末松がその本性を現します。
原作では、フョードルとリザヴェータ・スメルジャーシチャヤの間に生まれた(とされる)スメルジャコフ。
それをモチーフにした男であり、父親殺しの真犯人である末松が生まれたルーツが明らかになりますv。
次回予告で文蔵に30万円を要求していたあの女性が、末松の母親なのでしょう。
末松をうっかり身ごもってしまったあの女性(そういうトラブルは多そうな親父な気はするが…)
【「カラマーゾフの兄弟」の結末は?】
真犯人は、原作の通り末松です。
動機は恐らく自分の出生に恨みを持っていたこと。
そして、自分の心酔する勲が黒澤の血を恐れているのを知っていた末松は、勲が「穢れた血はこの手で断ち切らなければならない。それが私の宿命」と書いていたのを読み、黒澤の血が流れている自身が勲になり替わって文蔵を殺すことにしたのでしょう(自分のような文蔵の被害者をもう出したくない気持ちもあったのかな)。
しかし、原作をある程度なぞってしまうと、
1.末松は自白し、その後自殺
2.文蔵殺害の動機を知り、さらに末松の死に勲は大ショック。
3.そこへ文蔵が勲の元に幻覚となってあらわれ、勲が発狂。
4.加奈子が満の手紙を出して、満が文蔵を殺した証拠にする。
5.満逮捕(ついでに杉卓妻死亡)
・・・という夢も希望もない結末になってしまいます。
「理想」と「現実」のうち、結局、「なまなましい現実」が勝ち、満と勲は文蔵の血に敗れ去ります。
涼も大ショックでしょう。
しかし、第2の小説の存在も鑑みれば、「カラマーゾフの兄弟」はそんな小説ではありません。
それに、ここまで勲、満、涼が、それぞれ懸命に「正義」や「理想」や「良心」探究してきたことを考えれば、それらが報われる結末になってくれるとアベカンは信じています。
(どの道、末松の動機と自殺で勲が発狂してしまうそうだし、満は小栗の傷害に関しては罪を免れないでしょうが・・・。)