「カラマーゾフの兄弟」第5話感想
大審問官というより、第5編「プロとコントラ」の3「兄弟の接近」、4「反逆」の要素の方が強かった今回でした。
【勲、理想と現実のジレンマ】
●勲の「現実」、涼の「理想」
原作だと、神の存在を巡って対立的な思想を持つふたりですが、このドラマでは「現実」と「理想」という形で意見が対立します。
純粋に良心から一郎を助けたい気持ちを語る涼に、「別の面からみれば、他に苦しむ人間がいるという現実」「この世は多くの犠牲の上に成り立っている現実」「強者と弱者がたがいにうまく折り合いをつけることで世の中がうまく回っている現実」をつきつけます。
(どうでもいいけど、和解して裁判を取り下げても違法建築を隠蔽できればいいんじゃないでしょうか…どの道姉○さんみたくいつかばれそうだけど)
さらに、拳銃を手にした非道な男が一郎を人質に取ったという仮定を持ちだし、涼から「この手で殺してやる!」という答えを引き出し満足げ。
さながらアリョーシャに「銃殺に処すべきです!」と言わせたイワンの有頂天ぶりです。
それにしても酒の力が手伝っているとはいえ、話しているときの勲のテンションがやばいです。
「兄さん、奇妙な顔つきをして話していますね」
「なんだか気でも違ったようですよ」
・・・なんて言いたくなってしまいます。
けれども、涼に「僕はこの世に希望があると信じたい!」と言われた時の勲はすごいうろたえぶりです。やっちまった感はんぱないです(
内心きっと「おれは卑劣漢だ!」なんて思ってます。
●始まった幻覚
しかし、です。
「これが現実だ」「汚い欲望だ。恥ずべきことではない」と涼には口にしながら、誰よりもその「汚い欲望」を肯定することに良心の呵責をおぼているのは、勲本人でした。
その「汚い欲望」の権化ともいうべき文蔵に現在一番近いところでその蛮行を目の当たりにしている勲が、その「汚い欲望」に気が狂いそうなくらいになっているのは、ドラマ版カラマーゾフを見ている人全員が気付いていることだと思います。
現実と理想、文蔵に従わなければならない現実と自身が本来持っている良心との間に揺れる勲。
その板挟みにあい、勲は狂っていくのか・・・。
そのジレンマが勲を蝕み、ついに幻覚症の症状が始まりました・・・。
(ところで、江川卓の「謎解きカラマーゾフの兄弟」では、江川氏によって「イワンはアル中」説が唱えられているけど、これはこのドラマでも採用されているのかな?
幻覚は確かに酒飲んだばっかのときだったけども。
けど、3話で3人で飲んでた時はそんなことはなかったし、普段もアル中みたく手震えてないし違うかな)
ところで、勲が、涼との会話の中では「罪のない子供」、小説中では「純粋な子どもが大人達の悪の代償を払う」という言葉を使うのに、やはりドキッとします。
この編も原作のイワンの子ども虐待エピソードをひっぱってきてくれるんでしょうか。
【その他もろもろ諸々】
●杉山、涼が助けの手を差し伸べた時キレない
涼があつかましくしすぎて、杉山が切れて200ルーブル札を踏みつけにかかっちゃうかなとか思ったけどそんなことはなかった(
先日お見舞いのフルーツを突っ返されただけですみました(
●満の決意?
「このままじゃだめだ。もう終わりにする。俺がケリをつける」ってのは、満が文蔵殺しを決意したのでは?と思ってしまうような(視聴者から見て)少々思わせぶりなかんじ。
●刑事の名前は「入江」
モデルはやっぱイッポリート?
●末松、衝撃の告白
「私はまだここに来て、日が浅いので…」
…( ぅ ° Д ° ) ぅ
●末松、勲の小説読んでない?
ところで、勲の部屋の混乱を察して、部屋に駆け込んだ末松ですが、ちょっと勲の小説読んでませんか?
後で
末松「私も文蔵様の息子なんですよ(ニタァ」
勲「!?」
末松「私は、文蔵様とリザヴェータ・スメルジャーシチャヤの間に生まれた子なんです」
勲「!?!?」
末松「『呪われた一族の血はこの手で断ち切らなければならない。それがわたしの宿命』って書いてましたよね?『全ては許されてる』って書いてましたよね? その宿命は私の宿命でもあるんです。だから、私は文蔵様を・・・。」
勲「うわぁああああああああ!!!!!」
・・・なんて展開はないですか!?ないですか!?
【気になる次回】
●涼が母・詩織の自殺の理由に接近
否が応でも気にせずにはいられない、詩織の自殺の理由。ソフィアの死因なんて原作ではまるで扱われないものですので、このドラマにおける重要なキーになると思われます。
●小栗、目覚める
刑事の「誰かが白状するまで罪のない人間を疑わなければならない」と鎌を掛けられ、小栗を殴ったことに多分満がそろそろやばい。
●末松、ゲロ吐く
仮病?仮病?仮病?
●満、久留美にせまる
●勲、悪魔に魂を売ったと告白
などなど
・・・・そんなとこ。来週もまた楽しみです(ぅ・ω・)ぅ